【自転車】パミールハイウェイ旅行記 その4(世界の屋根①)

長期ツアー
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ネイザタシュ峠

カフェ・ゴールデンフィッシュを発ち、パミール高原の中心都市・ムルガブ(Мурғоб)を目指す。ムルガブは旧ソ連時代から交通の要所として発展してきた歴史を持つ街で、地図で見る限りかなり発展していそうな雰囲気があり期待に胸が膨らむ。

昨日まではずっとオフロード+激坂とかなりハードな道程だったが、本日は50km地点にあるネイザタシュ峠(Неизаташ pass)まで200UPした後、ひたすら60km下り基調のボーナスステージ。

しっかりと舗装された道が天まで延びていて大変美しい。


舗装路と言えば、海外ツアーをするようになる前まで「昭和初頭の頃、未舗装路がたくさん残っていたらしくて羨ましいな~」と感じることが度々あったが、実際に海外で嫌と言うほどたくさんオフロードを走ってからは、舗装路は至高だと改めて思うようになった。
車に抜かれた時、車が巻き上げた砂でドロドロになったり… 何より一番嫌なのが、排ガス混じりの砂をうっかり吸ってしまうと、吐きそうなくらい気分が悪くなってしまい、明らかに寿命が縮む感覚になる。
町中にオフロードが溢れていた昭和の時代は、おそらく自分のような人間には今よりも生きづらい時代だったんだろうなと思うようになった。(とは言え、車さえいなければオフロード自体は大好きです。)

全体的に綺麗に舗装されているが、所々割れていたり、落ちたら大事故になりそうな大穴もある。
パミール高原は豪雪地帯でもあるので、こればかりは致し方無い。

雄大な草原を眺めながら走っていると、昨日に続きまたまたマーモットさんを発見!!
ワハーン回廊より交通量が多いからもう会えないかと思っていたので、嬉しいサプライズ。

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草原風景から徐々に西部感漂う山岳風景にチェンジ。


山っぽい景色になってきたしそろそろ峠かな?と思いながらペダルを回し続けるも一向に登坂は始まらず。「あれ、おかしいな?」と思いMaps.meを開くと、1km先にネイザタシュ峠の文字が!!

ゆる坂過ぎて峠だと認識できてなかったけど、これが峠だったのね笑

と言うことで、ネイザタシュ峠(標高4080m)、あっさりと制覇!!


「あとはここからずっと下り基調だーー!!」と浮かれ気分でフォトタイム。写真をパシャパシャ撮っていると、何やら黒い影がこちらに向かって走ってくるのが見える。

「ん?なんだ??」と目を凝らしてみると、黒い犬がめちゃ吠えながら突進してきてるではないか!!

ヤバいヤバいと、全力スプリント開始。狂犬病のワクチンも摂取していないので、もし嚙まれでもしたら本気で洒落にならない。(結局このあとも執拗に追いかけられ続け、5kmくらいブン回した笑)

全開スプリントをして小腹が空いてきたので、ここでランチタイム。アリチュールの商店には、駄菓子orソーセージくらいしか補給食向きの食料が並んでいなかったので、ソーセージをチョイスした。なお、賞味期限は1か月くらい過ぎている模様。(パミール高原は物流に難があるからか、賞味期限切れのモノが多く店頭に並んでいた。)


果物ナイフで刻みながら食したが、普通に日本のポールウインナーと遜色ない味わいでとても美味しい。1本300円と比較的お手頃プライスなのもグッド。

そしてムルガブへ

峠からダウンヒルして山岳地帯を抜けると、再び草原風景が眼下に広がる。


緑が多いとフォトジェニックで良いね。


草原風景を眺めながら気持ちよく走っていると、すぐムルガブの町が見えてきた。昨日のアリチュールと比べて、大規模な摩天楼が見えて期待が高まる。今日こそはいよいよシャワーを浴びれるか⁈


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関所でパスポートとパーミッションを見せる検問を通過して、無事ムルガブにイン。メインストリートに行くと、偉大なる御方が鎮座していて大変味わい深い。

レーニン像↑

時刻はまだ15時過ぎなので、のんびり町を散策してみる。当初の予定では、現地通貨(ソモニ)が余りそうだったらここでドルに両替しようと考えていたが、幸いちょうど使いきれそうな金額しかなさそうだったので、それも不要となった。

のんびり町をポタポタしていると、1人のサイクリストが登場。話しかけてみるとなんと世界一周しているらしい。どうりで装備が只者ではない感じがする訳だ…。


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散策後は、本日のお宿「MURGHAB ADYL」にチェックイン!!
建物の外観はアリチュールと遜色ない感じだが、


温水シャワーがちゃんとあり


オマケにドラム式洗濯機まであって大満足過ぎた。
やはり文明の利器は素晴らしい。


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夕食は素朴ながらも美味しかった。この夜、夕食をご一緒した方々が日本語が話せる方々だったお陰で、久々に日本語を喋れてだいぶ心がほぐれた。その方々は祖父母がキルギス、父がアメリカ、母が日本生まれ、娘がアメリカ育ちと、情報量の多い多国籍ファミリーと伺って、このような家族の形もあるんだなと感心した。

パミールハイウェイ最高地点

久々に温かいシャワーをたっぷり浴びたお陰か、スッキリとした目覚めで朝を迎えた。時刻は朝6時、実に清々しい朝だ。出来立ての目玉焼き、パンと珈琲をかきこんだ後、早々にペダルを回し始めた。

本日のルートは、ムルガブから70km先にあるアクバイタル峠(Ak-Baital Pass)までひたすらヒルクライムした後、キルギス国境手前に位置するカラクル村(Karakul vil.)までダウンヒルする計130kmのなかなかにハードなコース。特にアクバイタル峠は、パミールハイウェイで最も標高の高い峠で、なんと標高4,655m!!ラダックのカルドゥンラ(Khardungla)よりは低山ではあるが、気を引き締めて出発した。


ムルガブからしばらく走ると、川沿いの道に変わる。雰囲気的にマーモットがいそうな感じがしたが、動物の姿は特に確認できなかった。ただ水が流れる音とホイールの風切り音だけがその場に響き続けた。


道中、昨日の宿で会ったファミリーに車から手を振り見送られた後、ランチタイム。
昨日から引き続きソーセージをナイフで切って豪快にかぶりつくスタイル。タジキスタンをはじめとする海外では、どうしてもパンやクッキーなどパサついた水分を持っていかれる食品が多いが、ソーセージはしっとりとしていて食べ応えもあるので、補給食としてはかなり優秀。

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出発時は70kmひたすらヒルクライムだと恐れていたが、実際はそこまでの激坂はほぼなく、ときどき斜度5%くらいのユル坂が現れて→また平地に戻るを繰り替えしながら徐々に標高を上げていく良心的な道路設計でひと安心。またずっと追い風が吹いているのでメンタル的にも心穏やかだ。


そしてペダルを回すこと幾時間。景色が一気に峠っぽい雰囲気に変わったところで、一軒の小屋が視界に入る。パーミッションを確認するゲート?それとも軍の施設かな?と思いながら近づいてみてみると、どうやら普通の民家っぽい。そして家の前には一人のおじさんが立っており、何やらこちらを手招いている。

おそるおそる近づいてみると、「お茶でも飲んでかないか?お金も取らないよ!」と声を掛けてくださった。シチュエーション的にどう考えても怪しさしかないが、おじさんからは悪意は感じられなかったので乗っかってみることにした。(この時点では、時間的にもかなり貯金があったしね)


家に上がらせていただくと、大量のパン・茶菓子・フルーツと温かい紅茶がズラり。これは想像以上で圧巻…。そして先客であろうサイクリスト(フランス発でユーラシア大陸を横断している猛者)が座っていた。

話を聞いてみると、この家では民泊をやっているらしく「アクバイタル峠はハードだし、今夜は泊っていかないか?」とのこと。続けて「車で国境付近まで送ってあげることもできるぜ!!」と語りかけてくる。

「ぐぬぬ」

こうして過去、何人ものサイクリストをダメにしてきたのだろうか。何とも度し難い。

「良かったらお酒もどう?」と勧められ、いよいよここに長居してはマズいと思ったところでもう一人入ってきた。どこかで見覚えがある顔だなと思うと、昨晩お世話になった宿にいた子だった。どうやらこの子のお爺さんがこの民宿を営んでいるらしい。何とも狭い世界だ。笑

この子も「せっかくだし泊っていったら?」と半笑いで勧めてきたが、鋼の意志をもって退散して再び自転車に跨った。

サイクリストを駄目にする小屋

この小屋は次のマップの場所付近にある。ムルガブ・カラクル間は宿がほぼ無い(Google map・Maps.meに記載の宿はゼロ)ので、野宿を回避したい場合は、この民泊を利用すると良いと思う。

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たくさん美味しいもの食べながらゆっくり身体を休めたお陰か、先ほどよりもだいぶ脚が回るようになった気がする。オフロードかつ斜度10%くらいはあり、なかなかの曲者ではあるが勢いで登る。


道中ユーラシア大陸横断ニキに抜かれながらも、なんとかアクバイタル峠(標高4,655m)制覇!!
峠の頂上には看板など何も無くて少々残念だが、これから超ロングダウンヒルを楽しめるのでヨシッ!

カラクル村を目指して

峠の頂上からは、待ちに待った爽快ダウンヒルがはじまる。
路面も非常に良質なグラベルロードで、とても気持ちが良い。


そしてしばらく進むと、ここがアクバイタル峠と示す看板が見えてきた。
頂上では何も看板が無かったので、ここでももう1枚パシャり。

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爽快ダウンヒルは10kmほどで終了し、また平地に変わった。時刻は15:30。陽が傾き始めて、徐々に焦りを感じ始める。また、峠区間が終わるとすぐ舗装路に変わると思っていたが、なぜか未舗装路が続く。ワハーン回廊よりはマシではあるが、微妙に路面が洗濯板状になっていて走り心地も悪い。

ひょんな気持ちになっている中、道路脇に民泊を発見。ゲルに泊れるみたいで何とも魅力的ではあるが、今日中にカラクル村に到着できないと完走が危うくなってしまうので、心を鬼にして先を急いだ。

その後30kmほどグラベルを堪能したところで、ようやく舗装路に変わった。
記念にパシャリ。


ゴールまであと25km。あとはこの道をまっすぐ進むだけだ。


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夕暮れのカラクル湖を横目に、何とか完全に陽が沈む前にカラクル村に到着した。村の規模は先のアリチュールと同程度の雰囲気。1軒目の宿は満室だったが、なんとか2軒目の宿にピットインすることができてひと安心。

宿を決めたところで、飲料水を購入すべく商店へと向かった。だが、ここで問題発生。なんと水が完売してしまっていたのだ。当然お茶やアクエリアスといったものも無く、途方に暮れた。

カラクル村にある商店は2軒しかなく、もう一つのお店も完売状態で完全に詰んだ。聞いた話によると、今日の昼間にタジク軍が水を大量に買ったため在庫が底を尽いてしまったらしい。

「どうしようか…」と頭を抱えながら宿に戻り、主人に水を売ってもらえないか交渉開始。この村全体で水が貴重なものらしく少々渋られはしたが、1Lの水1本は譲って貰えて何とか耐えた。

目下の水を入手したところで、シャワータイム。蛇口が2つあり、熱々のお湯と水をミックスしながら桶に貯めて浴びるスタイルで、アリチュールよりは文明を感じることができた。

シャワーで人権を回復した後、早々にベッドイン。

明日はいよいよ待ちに待った国境越えだ。

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