
ガソリンストーブ、どこか危険な香りがして怖いわ…。
使うメリットってあるのかしら?

たしかに玄人感があって、素人には難しそうなイメージがありますよね。
本記事では、ガソリンストーブを使用するのにオススメのシーン、製品、
使い方や注意点などを解説します!
そもそもガソリンストーブとは?
ストーブ(バーナー)とは、家庭用コンロを屋外でも使えるコンパクトなサイズにしたモノで、
おもに火を使った料理や、暖をとる用途で使われています。
ストーブの中でも、使用する燃料によって種類が分かれていて、
メジャーなところだとガス・ガソリンの2種類がよく売られています。
ガスストーブとガソリンストーブ、この2種類の一番の違いは
「最初から専用容器に燃料が入っている状態で売られているかどうか」です。
ガスストーブの燃料は、ホームセンター等でOD缶・CB缶にガスが入った状態で売られており、
OD缶・CB缶をそのままストーブ本体に接続すれば、すぐに火を点けることができます。
一方でガソリンストーブの燃料は、ストーブ専用の容器に入った状態では売られておらず、
専用容器に移し替えるために「ひと手間」かける必要がでてきます。
この点だけ見るとガソリンストーブは「ただ不便な道具」という印象を受けると思います。
どのようなメリットがあるか、次項で解説していきます!

ガソリンストーブのメリット
①寒さに強い
ストーブは燃料を気化させて火が点く構造になっていています。
ブタンガスをはじめとしたガス缶に入っている燃料は、
+5℃を下回るとほぼ気化しなくなり、火が点かなくなってしまいます。
一方でガソリンは-40℃でも気化するため、低温下でも安定した火力を維持することができます。
実際に私はこのポイントに惹かれてガソリンストーブを購入。
厳冬期の北海道や長野の雪山で使用してみたところ、-20℃の環境下でも強火で使用できました!
先ほど+5℃を下回るとほぼ気化しなくなると明記しましたが、
すべてのガスストーブがこの温度を下回ると使えなくなる訳ではありません。
低温環境での使用を想定したガスバーナー・ガス缶も売られており、
こういったモノを使用すれば下限温度を下げることができます。
また、ガス缶カバー・風防の併用、(暖かくするために)穴の底にバーナーを置く、
火力が落ちた際にガス缶をお腹に入れて暖めるなどの工夫をすれば、
ー10℃程度の環境で、インスタント食品用の湯沸かし程度の使い方は可能です。
とは言え、低温環境で熱伝導の低い調理器具(金鍋など)を使いたい方や、
鍋や焼き肉などガッツリと人権のある料理を作りたい方、
そもそもシンプルにいきたい、なるべくトラブルを避けたいという方は、
ガソリンストーブを購入したほうが幸せになれるかと思います。


②燃料が安い
燃料代のコスパについては、ガソリンストーブが圧倒的に有利です。
ガス燃料(OD缶250ml)が1本760円に対して、これに相当する軽油代はなんと56.5円。
長い目でみると費用の嵩む燃料代。お金があまりない学生にもオススメできます。
※前提条件:ウィンドマスター(SOTO)の燃焼時間90分/250ml、ドラゴンフライ(MSR)の燃焼時間153分/600ml、軽油代160円/Lをもとに算定。(600÷153×90=353ml/90分、160×0.353=56.5円/353ml)
③燃料が手に入りやすい
ガス缶の場合、CB缶であればコンビニで売られていることが多いですが、
OD缶だとなかなか自分が持っているストーブ用のOD缶が入手できなかったりします。
一方、ガソリンストーブの主燃料であるレギュラー・ホワイトガソリン・軽油・灯油は、
全国のガソリンスタンド・ホームセンターで入手することが可能です!
日本国内はもちろん、海外の田舎で長期旅をされる方には特にオススメです。
日本では消防法の定めにより、ガソリンスタンドで従業員の許可なく
容器にガソリンを給油することが固く禁じられています。
そのため、ガソリンスタンドでガソリンを入手するためには、
まず従業員に「携行缶に入れてもらえないか?」とお願いしましょう。
客の多いお店やセルフスタンドでは断られるケースもあるようですが、
田舎のスタンドやエネオスを3軒ぐらい回ればおそらくGETできると思います。
了承を得られたら、身分証明等を済ませた後、携行缶を従業員に手渡します。
この時、携行缶に「消防法適合品」のマークが無いと断られるので注意しましょう。
ガソリンストーブの燃料缶に直接給油することは、日本では許されないのです。
その後、スタンドの従業員立会いのもと給油して、ミッションクリアです。
なお、ガソリンスタンドでの給油に失敗した場合は、
ホームセンターで売られているホワイトガソリンを購入しましょう。
値段は約1,000円/Lしますが、OD缶と比べればこれでも高コスパです。

ガソリンストーブのデメリット
①道具がかさ張る
ガソリンストーブは、道具が多くなるためかなり体積を取ります。
ガスストーブがガス缶・バーナーだけなのに対して、
ガソリンストーブは、燃料缶・バーナー・携行缶と道具が多く、
またバーナー本体は、折り畳んでもそこまでコンパクトにならないです。
パニアバッグを使うのであればそこまで気にならないレベルではありますが、
バイクパッキング・UL登山スタイルとは相性があまり良くないと思われます。
②初期費用が高額
ガソリンストーブは、ガスストーブと比べて非常に高価です。
ガスストーブが約3,000円~10,000円なのに対して、
ガソリンストーブは、約20,000円~30,000円ほど掛かります。
この金額を見て「学生が購入するのは難しいのでは?」と思う方も多いでしょう。
ですが、工夫次第で十分GETすることは可能だと考えています。
まずベタではありますが、中古で購入するのが一番良いかと思います。
理由としてはガソリンストーブは一生モノと良く言われるほど
耐久性に長けたアイテムで、比較的トラブルに合うリスクが低いからです。
筆者の場合は「一生モノだからこそ新品を買おう」と身銭を切りましたが、
お金が無い方は正直中古でも良いかと思います。
メルカリ・ヤフオクで約半年ウォッチすれば、
約12,000円~20,000円(燃料ボトル付き)で入手可能です。
次に考えられる方法は、(社会人には難しいですが)所属している団体で購入する方法です。
学生さんの場合、多くの人が自転車部・登山部に所属しているかと予想します。
所属している部活(サークル)の打合せで、本記事で記載しているメリットを語って説得し、
部活の経費からガソリンストーブを購入しちゃいましょう!
上手くプレゼンすれば、お金に困っている部員や海外志向の部員から
きっと支持を得られるかと思います。
最後の方法は少しハードルが高いですが、スポンサーをつけることです。
実際に私のサイクリング部同期がベトナム縦断に挑戦する際、
企業からのスポンサーを募って、見事無料でO社のガソリンストーブをGETしていました。
③点火までの時間が掛かる
ガソリンストーブは、ガスストーブと比べて点火までに時間が掛かります。
ガスストーブは、ストーブ本体とガス缶を接続→点火の2ステップ、約30秒で点火できます。
一方ガソリンストーブは、点火まで約3~5分は掛かります。
旅程に余裕の無い限界旅をされる方には、あまり合わないかと思います。
なお点火までの手順については、実際に旅に出る前に(家の庭などで)
説明書を見ながら1~3回ぐらい練習すれば覚えらるレベルの難易度です。
手順を解説しているサイトを見ると、プロっぽい用語が並んでいて
「難しそう」という印象を受ける方も多いかもしれませんが、
していること(原理)は至ってシンプルです。
点火までの手順については、後ほど解説します!
④飛行機に持ち込む前に洗浄が必要
飛行機にガソリンストーブを持ち込む場合、事前に洗浄をしておく必要があります。
使用済みのままだと危険物扱いとなって預けることはできないので、
中性洗剤などを使って約30分掛けて洗浄するか、宅急便で送らないといけないです。
飛行機を多く使う人は、ガスストーブよりひと手間増えるので少し微妙かもです。
オススメのガソリンストーブ
オススメのガソリンストーブは、ド定番ではありますがMSRのドラゴンフライです。
ほかの候補としては
・ウィスパーライトインターナショナル(MSR)
・MUKAストーブ(SOTO)
あたりで悩む方が多いかと思います。
これら2つは、静穏性・価格面ではドラゴンフライよりも有利です。
一方で、火力調整機構はドラゴンフライが圧倒的に優れており、とろ火での調理もお手の物です。
またドラゴンフライは燃費も良いため、ガソリンを節約して使うことができます。
これらの要素から勘案して、また一生モノの買い物でもあるので、
私はドラゴンフライを購入しました。
なお、いま上げた製品以外にも安価なガソリンストーブは売られていますが、
使用できる燃料が限られて(レギュラーガソリンが使えない等)いたりするので注意しましょう。

ガソリンストーブの使用手順
ガソリンストーブが、どのような手順を踏んで使うギアなのか分からない方も多いでしょう。
原理について理解を深めていただくため、使用手順をかいつまんでご紹介します!
①燃料ボトルに専用バルブを取り付け(20秒)
燃料ボトルに付いているキャップを外して、専用バルブを取り付けます。
②燃料ボトルをポンピング(1分)
燃料ボトルからバーナー本体にガソリンが流れるようにするため、
約30回ほどポンピングして燃料ボトルの内圧を上げます。
レバーを押したときに手応えが出てきたら、ポンピング終了です。
※ポンピングしすぎても決して爆発することはありません。ご安心ください。
③燃料ボトルとバーナー本体を接続(10秒)
④燃料ボトルのバルブを全開まで開く(5秒)
バルブは、水道の蛇口と同じような構造となっています。
燃料ボトルのバルブを反時計回りに回すと、ガソリンがホースから流れます。
⑤バーナー本体を少量のガソリンで温める(1~2分)
ドラゴンフライの場合、バーナー本体にもバルブがあります。
本体側のバルブを開き、バーナー本体内部が少しガソリンで湿ったところで再度バルブを締めます。
本体にライター等の火を近づけると火が着きます。
本体が温まるまでに約2分掛かるので、このままじっと待ちます。
※この時、ガソリン量が多いと火柱が上がる可能性もありますが、
バルブを締めていたら時機に炎は収まります。落ち着いて静観しましょう。
⑥バーナー本体のバルブを開く(30秒)
火が消えそうになってきたら、バーナー本体側のバルブを少しずつ開きます。
すると赤い炎から青い炎へ徐々に変わっていきます。
完全に青い炎に変わったら、晴れて使用可能な状態になります。

こちらの手順を見て「意外と自分でもできそう!」と思われましたでしょうか?
もしかすると「難しそう」という印象を受けた方も多いかもしれませんが、
原理を理解し、手順を覚えていけば意外と誰でもできるようになります!
さいごに

当記事を読んで、ガソリンストーブに対して
「面白そう!」「使ってみたい!」と思っていただけたら嬉しいです。
個人的にガソリンストーブは、不自由な側面がありながらも、
趣味の楽しみの幅を広げてくれる素敵なギアだと思っています。
実際に購入された方がいましたら、ぜひ感想を教えてください。
それでは!
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