【自転車】パミールハイウェイ旅行記 その3(ワハーン回廊②)

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アフガニスタン国境

むくり、知らない天井だ。


ひと呼吸すると、ラダックで嫌というほど嗅いできた中央アジア感ある匂いが香ってくる。

いそいそと身支度をして、サドルにまたがる。風邪っぽい症状が残っていたのでもう一泊ここに滞在するか一瞬悩んだが、取り敢えずなんとかギリギリ走れそうなので走り出すことにした。

可愛い看板娘の子がいるお宿を出発して、ワハーン回廊随一の都市イシュカーシム(Ишкошим)を目指す。滞在中、かわいい声で「ニポースキー!!」と呼ばれて、何だか異世界系の物語の中にいる感覚になれて大変味わい深かった。


昨日1時間以上掛けて登った坂道を秒で下り終え、パンジ川(Panj Riv.)沿いの道を突き進む。


パンジ川は、タジキスタンとアフガニスタンの国境となっており、水量が少ない時期はアフガニスタンからタジキスタンへ密入国を図る人がいるとかいないとか…。

いまの時期(8月)は水量が多い感じがするので対岸まで泳ぐのは至難の業のように感じるが、それでも5kmに1度くらいのペースでタジク軍の方に遭遇したので中々の厳戒態勢が敷かれているように感じた。

パンジ川沿いのこの道を走っている時は、川がそこまで大きくないこともあり基本的にずっと対岸・アフガニスタンの様子を眺めながら走ることができる。


アフガニスタンの首都・カブールとは一級山岳で隔てられており距離が離れていることもあり、一応道はあるように見受けられるが車通りはほとんど無い。所々小さな村はあるように見えるが、人の姿は全然確認できずちょっと寂しげな雰囲気が漂っている。また、道路の状態もアップダウンが激しく道幅も狭く、かなり悪そうな感じ。

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「対岸に誰かいないかなー」と気にしながら小高い丘を登っていると、対岸からクラクションの音が聞こえてきた。

ふと川の方に目をやると、キャラバンの上に乗った陽気なアフガン人が、なんと手を振って応援してくれていた!!

アフガニスタンと言えば怖そうなイメージしかない国だったが、もし将来平和になったら「いつかアフガニスタンにも行ってみたいな」と思った。

しばらく走ると、この近辺で唯一アフガニスタンに入国可能な橋が見えてきた。


この橋は、週に1度土曜日に催されているアフガンバザール(Авғон бозор)の時のみ渡ることができるらしい。今回は残念ながら曜日的に行けなかったが、ターリバーンの旗を拝めたので良しとしよう。

ワハーン回廊


イシュカーシム到着後は照明がエロい雰囲気の宿で体を休めた後、翌朝体調がさらに悪化してしんどかったので文明の利器で100kmほどワープした。

イシュカーシムのシェアタクシー

主にホログ方面のシェアタクシーが多いが、少ないながらもムルガプ(Мурғоб)方面のタクシーも走っている。ムルガプ行のタクシーには早朝(朝6時~7時くらい)に行かないと乗ることができないが、ビフィファティマ温泉(Bibi Fatima Hot Springs)やランガー(Лангар,イシュカーシムから東に120km先の町)までは昼出発のタクシーでも向かうことができる。


シェアタクシーはだいたい↓の辺りに停まっている。


車が進みだすと、昨日までとうって変わって、一気にオープンワールド感のある広々とした景色に変わる。ラダックに近い雰囲気で、「またヒマラヤに戻ってきたんだなぁ」としみじみと感じる。

道中、砂にハマって立往生している車を横目に通過したり…


完全に水没している道や…


牛が闊歩している道等々、なかなかに険しい道を進む。



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今回のシェアタクはそこそこ年季が入った車体だったこともあり、10kmに約1回のペースで停車し、エンジンに水を掛けて冷やすパワープレイをしながら進む。そのような事情もあってかなりのスローペースではあったが、時々運転手は知り合いの家や店によって薬などを渡しながら進んでおり、このような物流の形もあるのだなと、ワハーン回廊の文化を感じることができた。

途中川を渡った際にタクシーのタイヤがパンクするトラブルがありながらも、なんとか峠手前の宿に到着することができて無事チェックイン。年季の入った宿で、トイレは屋外のボットントイレ、シャワーは冷水のみ(水圧もかなり弱く、気温10度の中震えながら身体を清めた…)という地獄だったが、泊まれるだけ有難いと思うようにした。

洋画に登場しそうなボットントイレ↓

カルガシュ峠 DAY1

朝7時、ランガー(Лангар)の宿を出発し、本日の目的地・アリチュール(Alichur)を目指してペダルを回し始めた。宿のホストから「車でアリチュールまで送ろうか?」と誘惑を受けたが、体調が回復しつつあったので今日は頑張って自走することにした。


宿を出るとすぐに峠が始まり、見通しの良い九十九折をグングンと登り高度を上げていく。

気づけば標高3,600m。道路脇は断崖絶壁となっており、うっかりコースアウトしたら命はなさそう。

しばらく走ると何と行き止まり。


「あれ?おかしいな」と思いMaps.meで地図を確認してみると、元々は橋があったであろう場所に、残骸らしきものが…

川をよく観察してみると、多分ここを歩くんだろうなというラインが解ってきたので、意を決して入水。さすがはヒマラヤ山脈、8月とは思えないほど水は冷たく、また意外と膝あたりまで水嵩があってなかなか進めない。

流されないように細心の注意を払いながら進み何とかクリアー。

これは後から知った情報だが、この洗い越しは午後に掛けて水深が上昇するため午前中しか通行できないらしい。次の日ゲストハウスで知り合った方は、ここで渡れることができず1晩川辺でキャンプする羽目になったとか。

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相変わらずこの世の最果てのような景色の中ペダルを回す。基本的に乾燥帯なので緑は少ないが、所々滝もあって美しい。ここに来たところで時刻は15時。終始登り基調で、路面も洗濯板状の凸凹道となっているため全くペースが上がらない。そして水も飲みすぎてしまい在庫状況が怪しい。

「この滝の水なら綺麗そうだし飲めるかも?」と思い試しにペットボトルに水を汲んでみると、異物が全くない透き通っているではないか。普通の川とかだと1mm台くらいの小さなゴミが混入してしまうため絶対飲みたくないが、これなら大丈夫そうだと判断して思い切りがぶ飲みした。流石はヒマラヤの天然水だけあって味は極上だったが、将来エキノコックスになってしまったら恐らく一生後悔するだろう。


しばらく走るとまた地形が変化して、またパンジ川がぐっと近づいた。川の対岸はアフガニスタンな訳だが、これだけ川幅が狭いと本気を出せば密入国もできちゃいそうな雰囲気。

地形の変化とともに路面状況も変化して、砂漠っぽいフカフカ路面にチェンジ。ファットタイヤ等浮力のあるタイヤであれば進めそうではあるが、35Cのグラベルタイヤでは太刀打ちできず無念の押し歩き。一体この峠の攻略にどれだけ掛かるのかと絶望しながら押し歩いた。


ようやくフカフカ激坂ステージが終わり「よし乗れるぞ!!」と思えば、今度は無限洗濯板状ワダチ編。写真だと端が平らに見えるが、実際走ると逃げ場所は無いに等しく、最悪な乗り心地に耐えながらペダルを回す。

絶望に打ちひしがれている中、幸いにも水場のほとりに良い感じのサイトを発見。

「今日はここをキャンプ地とする!!」


陽も沈みつつあったのでそそくさと設営したのち、気温5度のなか川で身体を清めた。


ヒマラヤの天然水を全身で感じながら「社会人になったのに自分は何をしているのだろうか」とふと我に返りながら、当たり前の日常のかけがえのなさを実感した。

カルガシュ峠 DAY2

泥のような眠りから醒め、「今日こそは絶対アリチュールに行くぞ」と決意を固めて出発した。路面状況は昨日と同じような、相変わらずの轍マシマシ路面ではあるが一晩身体を休めた分だいぶ足が回るようになってきた。

朝陽を感じながら走っているとパンジ川の対岸に人影が。大量のロバを従えながら移動しているように見えるが、何をしているのだろう。

引き続きペダルを回していると、今旅初のマーモットに遭遇!!

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そして徐々に緑が増えていき、ようやく夢にまでみたカルガシュ峠(Kharguah pass)の頂上にある湖・オゼロカルガシュ湖(Ozero Kharguah)に到着!!想像より水が汚い感じがして少々残念な感じはしたが、これで今日中にアリチュールに辿り着ける目途が立って、そっと胸を撫でおろした。

ちょっとした登り返しを越えつつペダルを回し続けること幾時間。ようやく、ようやくパミールハイウェイの本線分岐に到達した。300kmぶりの舗装路に、道路脇には美しい湖。世界が輝いて見えた。

看板には今旅の実質ゴールの町・オシ(Ош)の文字が登場。

死線を越えた後に飲むファンタの美味しさよ。

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商店で水と食料を買い込んだ後、今日の宿探しをスタート。当然この町にはBooking.comなどに対応している宿は皆無なので、Google mapのレビューを頼りにアポなしで宿探しをスタート!!

そして1軒目に訪ねた「カフェ・ゴールデンフィッシュ」へ難なく宿泊できることが決まった。


外観は年季が入っている感じがしたが、内装は小綺麗な感じで素晴らしい。
久々に人権を感じることができて「旅はこうでないとね」と再認した。


だがここで問題発生。アリチュールはなんと水道が通っていないようで、浴室はシャワーではなく、バケツの温水を手桶で浴びるスタイル。シャワーを浴びれないのは些か残念だったが、3日間水シャワーしか浴びてなかったため、これでもとても幸福に感じた。

夕食は羊肉とジャガイモのスープにフライドポテト。素朴に見える見えるメニューではあるが、ずっとパサついた補給食しか食べていなかったこともあり、とてつもなく美味しく感じた。(一瞬で完食した)

お腹いっぱいになったところでフカフカのベッドにダイブ。

こうして怒涛のワハーン回廊の旅路が終結した。

その4に続く

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